「優しくできない」と悩むのは一生懸命な証拠。介護現場での感情の波と向き合い、心を守るアンガーマネジメント

理想は寄り添うケアですが、多忙さから言葉が強くなる葛藤を抱える人は多いです。安全確保を優先するあまり余裕をなくしてしまうのは、現場では避けられない現実といえます。

全ては無理でも苛立ちの仕組みを知り、対応を少し変えるだけで心は軽くなります。自分を責めず、まずはここから現実的な一歩を一緒に見つけていきましょう。

この記事を読むと分かること

  • 苛立ちが起きる仕組み
  • 自分を責めなくて良い理由
  • BPSDをサインと捉えるコツ
  • 心を守る感情管理のやり方
  • 現場で助けを求める重要性

一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます

  • 怒鳴られるのが怖くて不安
  • つい強い言葉を使ってしまう
  • 介助拒否で自信を失っている
  • イライラする自分が嫌になる
  • 忙しくて一人で抱え込みがち

結論:苛立ちは「性格」のせいではなく、構造的な「プロセス」の結果

女性の介護職員の画像

現場では、理想のケアを目指して入職したものの、実際の人員配置や多忙な業務を前に、思うような関わりができない現実に直面することがあります。特に新人の方は「他職員に迷惑をかけたくない」と助けを求められず、一人で業務を抱え込んでしまいがちです。

その余裕のなさが苛立ちに繋がり、利用者に対して強い言葉を使ってしまう自分に「援助者失格だ」と深く傷つく姿が現場では多く見られます。しかし、その苛立ちはあなたの性格が冷酷だからではなく、無理な状況が積み重なった結果として生じる自然な反応であることを知る必要があります。

苛立ちが積み重なり「介護が乱れる」メカニズム

介護現場で利用者に対して苛立ってしまう背景には、個人の性格の問題ではなく、構造的なプロセスの悪循環が存在します。過度な業務負担のなかで、他職員への気兼ねから助けを求められず、業務を一人で抱え込むことで、心の中に苛立ちがたまっていきます。

この蓄積が、無意識のうちに声がけや対応が乱暴になってしまう自然に乱れる介護を引き起こします。つい声を荒らげたり、行動を制限する言葉を使ったりしてしまうのは、あなたの心が限界を迎えているサインなのです。

出典元の要点(要約)

帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「一人で抱え込み,苦しんでしまう」とは‘業務を他職員に手伝ってもらいたいと思っていても,他職員の負担のことを考えると助けを求められない。結果的には業務を一人で抱え込み,苦しんでしまい,苛立ちやすくなるという悪循環があった。’

帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「“自然に乱れる介護”とは‘利用者との関わりのなかで,自然に声がけが乱暴になったり,利用者への対応が乱暴になってしまうこと’である。」「諸種の苛立ちが重なり,自分の中にたまり,つい利用者への対応の場面で,声を荒げてしまったり,スピーチロックをしてしまったりと,自然と自分の介護が乱れていくということである。」

自分を責めることで加速する「援助者としての否定」

イライラしてしまった自分に対して、強い嫌悪感や否定を抱くことも、さらなる余裕の喪失に繋がります。「自分は介護職に向いていない」と援助者としての自分を否定してしまうと、精神的なゆとりがさらに失われ、より苛立ちやすくなるという負のループに陥ります。

苛立ちを抑えようと一人で収めようとするのではなく、今の自分の状態を客観的に捉えることが重要です。まずは、苛立ちは環境や負担によって引き起こされるものであることを受け入れ、自分を責める手を止めることが、適切なケアを取り戻すための第一歩となります。

出典元の要点(要約)

帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「“苛立つ自分への嫌悪・否定”とは‘利用者にイライラしてしまった自分に対して嫌悪感を抱いたり,援助者としての自分を否定してしまうこと’である。」「『次の人に迷惑をかけるよなっていう感覚はやっぱりあるので,どうにか自分の中で収めたい』」

BPSDは本人の「困りごと」を伝えるメッセージ

利用者が怒鳴る、介助を拒むといった行動(BPSD※)は、あなたを困らせるための攻撃ではなく、本人なりの理由があるサインです。脳の障害に加え、痛みや不快感、環境の変化、あるいは「何をされるか分からない」という不安などが原因となって引き起こされます。

原因を「本人の性格」ではなく、以下の視点で観察してみましょう。

  • 身体の痛みや便秘などの不快感はないか
  • 周囲の音がうるさいなど、環境による刺激はないか
  • 言葉が伝わらず、心理的な不安を感じていないか

これらを整理し、反応を一呼吸待つことで、苛立ちのぶつかり合いを避け、安心できる関わりへと変えていくことができます。

※BPSD:認知症に伴う行動・心理症状(暴言、徘徊、介護拒否など)のこと。

出典元の要点(要約)

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSDは、認知症に伴う知覚、思考内容、気分、行動の障害と定義されます。脳の器質的変化を背景に、身体的要因(痛みや薬の副作用等)、環境的要因(入院等による環境変化、不適切な刺激)、心理・社会的要因(不安、孤独、ストレス等)が複雑に絡み合って誘発されます。認知機能障害の改善は困難ですが、BPSDは適切なケアや環境調整によって改善される可能性があります。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

医療者は本人の意思を読み取るために反応を一呼吸待つ姿勢が求められます。

介護の現場で苛立ちを感じるのは、あなたが誠実に業務に向き合い、一人で頑張りすぎている証拠でもあります。苛立ちは個人の問題ではなく「心の余裕が限界である」という信号だと捉え、自分を責めずに、まずは一呼吸置くことから始めてみませんか。

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「自分を責めなくて大丈夫」現場で起きがちな3つの悪循環

女性の介護職員の画像

現場では、理想のケアをしたいという強い思いがある一方で、現実に押しつぶされそうになる瞬間があります。特に新人の方は、自分の不甲斐なさを感じてしまいがちですが、これらは多くの介護職が経験する構造的なプロセスです。ここでは、つい陥りやすい典型的な事例を整理し、どう捉え直すべきかを考えてみましょう。

【抱え込み】「先輩に迷惑をかけたくない」と一人で耐える場面

  • 状況
    • 業務が重なり、他職員も忙しそうにしているため、助けを呼べない。
  • 困りごと
    • 一人で処理しようとして負担が増し、心の中に苛立ちがたまっていく。
  • よくある誤解
    • 助けを求めるのは「仕事ができない証拠」だと思い込んでしまう。
  • 押さえるべき視点
    • 一人で抱え込むことは苛立ちを加速させる悪循環の入り口です。チームで対応することは、適切なケアを維持するために欠かせません。
出典元の要点(要約)

帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

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「一人で抱え込み,苦しんでしまう」とは‘業務を他職員に手伝ってもらいたいと思っていても,他職員の負担のことを考えると助けを求められない。結果的には業務を一人で抱え込み,苦しんでしまい,苛立ちやすくなるという悪循環があった。’

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

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認知症看護の基本項目として、家族・スタッフの状態、感情への配慮などが重要視されます。

【介護の乱れ】つい強い言葉(スピーチロック)が出てしまう場面

  • 状況
    • 何度も同じ訴えを繰り返されたり、拒否が続いたりして、心のコップが溢れた瞬間。
  • 困りごと
    • 無意識に声がけが乱暴になったり、行動を制限する強い言葉が出てしまう。
  • よくある誤解
    • 自分の性格が冷酷になった、介護に向いていないと自分を否定する。
  • 押さえるべき視点
    • これは自然に乱れる介護という現象であり、蓄積した苛立ちのサインです。自分を責める前に、今の自分の「余裕のなさ」を認めることが大切です。
出典元の要点(要約)

帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「“自然に乱れる介護”とは‘利用者との関わりのなかで,自然に声がけが乱暴になったり,利用者への対応が乱暴になってしまうこと’である。」「諸種の苛立ちが重なり,自分の中にたまり,つい利用者への対応の場面で,声を荒げてしまったり,スピーチロックをしてしまったりと,自然と自分の介護が乱れていくということである。」

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

コミュニケーションにおいて注意すべき言葉として、「命令する言葉」、「子ども扱いする言葉」、「相手を否定する言葉(スピーチロック)」の3つがあります。これらは患者の自尊心を傷つけ、易怒性や気分の落ち込みを招くため、肯定的な言い換えを行う必要があります。

【拒否への反応】ご本人の拒否を「自分への攻撃」と捉える場面

  • 状況
    • 丁寧に誘っても「うるさい!」「あっちへ行け!」と拒絶される。
  • 困りごと
    • 自分を否定されたように感じ、悲しみや怒りが湧いてくる。
  • よくある誤解
    • ご本人が「自分(介護士)を嫌っている」と決めつけてしまう。
  • 押さえるべき視点
    • 拒否(BPSD)には、痛みや不安などの隠れた要因があります。あなた個人への攻撃ではなく、ご本人が困っている「サイン」だと捉え直してみましょう。
出典元の要点(要約)

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認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSDは、認知症に伴う知覚、思考内容、気分、行動の障害と定義されます。脳の器質的変化を背景に、身体的要因(痛みや薬の副作用等)、環境的要因(不適切な刺激)、心理・社会的要因(不安、孤独、ストレス等)が複雑に絡み合って誘発されます。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

医療者は本人の意思を読み取るために反応を一呼吸待つ姿勢が求められます。

これらの事例は、多くの新人が通る道です。イライラや介護の乱れは「あなたの性格」ではなく「環境と負担」のサインであることを忘れずに。自分を責めすぎないことが、余裕を取り戻す第一歩になります。


苛立ちが生まれるメカニズム――なぜ「優しくしたい」気持ちが削られてしまうのか

現場では「笑顔で接したい」という理想を持っていても、実際には人員不足やナースコールの連続に追われ、心に余裕をなくしてしまうことがあります。特に新人の方は、忙しそうに動く先輩たちを見て「自分も頑張らなければ」と業務を一人で抱え込んでしまい、気づかないうちに心のコップが溢れそうになっているものです。

本当はもっと丁寧に関わりたいのに、体が追いつかない。そんな現場の限界が、あなたを追い詰めているのかもしれません。なぜ苛立ちが生まれるのか、その構造を知ることで、自分を責める手を止め、心を整理するヒントが見つかります。

抱え込みから始まる苛立ちの連鎖

苛立ちが強まる大きな要因の一つは、業務を他職員に手伝ってほしいと感じながらも、周囲の負担を気にするあまり助けを求められない状況にあります。新人であるがゆえに「自分がやらなきゃ」と無理を重ね、業務を一人で抱え込んでしまうことで、心身の苦しみが蓄積していきます。このように、周囲への気遣いや孤独な頑張りが、皮肉にも利用者に対して苛立ちやすくなる悪循環を生んでしまうのです。

出典元の要点(要約)
帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

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「一人で抱え込み,苦しんでしまう」とは‘業務を他職員に手伝ってもらいたいと思っていても,他職員の負担のことを考えると助けを求められない。結果的には業務を一人で抱え込み,苦しんでしまい,苛立ちやすくなるという悪循環があった。’

余裕の喪失が招く「自然に乱れる介護」

日々の小さな苛立ちが自分の中にたまると、ある瞬間に感情のコントロールが難しくなり、声がけや対応が乱暴になってしまうことがあります。これは専門的な研究で「自然に乱れる介護」と呼ばれますが、まさにスピーチロック(言葉による拘束)や、つい声を荒らげてしまう状態を指します。こうした態度の変化は性格の問題ではなく、心にたまった負担が限界を超えた結果として表れる現象なのです。

出典元の要点(要約)
帝京科学大学医療科学部医療福祉学科

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

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「“自然に乱れる介護”とは‘利用者との関わりのなかで,自然に声がけが乱暴になったり,利用者への対応が乱暴になってしまうこと’である。」「諸種の苛立ちが重なり,自分の中にたまり,つい利用者への対応の場面で,声を荒げてしまったり,スピーチロックをしてしまったりと,自然と自分の介護が乱れていくということである。」

利用者の行動を「サイン」と捉え直す視点

利用者の拒否や暴言(BPSD※)を「自分を否定する攻撃」と受け取ってしまうと、どうしても心理的な防衛反応として苛立ちが湧いてしまいます。しかし、こうした行動は器質的な脳の障害を背景に、痛みや不快な環境、心理的な不安・ストレスなどが複雑に重なって起きる「本人からのサイン」です。背景にある理由を理解し、反応を一呼吸待つ余裕を持つことで、感情のぶつかり合いを未然に防ぐことが可能になります。

※BPSD:認知症に伴う行動・心理症状(暴言、徘徊、介護拒否など)のこと。

出典元の要点(要約)
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSDは、認知症に伴う知覚、思考内容、気分、行動の障害と定義されます。脳の器質的変化を背景に、身体的要因(痛みや薬の副作用等)、環境的要因(入院等による環境変化、不適切な刺激)、心理・社会的要因(不安、孤独、ストレス等)が複雑に絡み合って誘発されます。認知機能障害の改善は困難ですが、BPSDは適切なケアや環境調整によって改善される可能性があります。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

医療者は本人の意思を読み取るために反応を一呼吸待つ姿勢が求められます。

苛立ちが生まれるのは、あなたが誠実に業務に向き合い、一人で頑張りすぎている証拠です。「介護が乱れている」と感じたら、それは「休んで」という心からの警告かもしれません。自分を責めるのをやめて、周囲に助けを求める勇気を持つことが、結果としてより良いケアに繋がります。

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現場の「困った」に答えるQ&A:自分と利用者様を守るために

女性の介護職員の画像

「本当はもっと優しくしたいのに、どうしてこんなにイライラしてしまうんだろう」と、一人で自分を責めていませんか。慣れない業務や人手不足のなかで、新人さんが不安や苛立ちを感じるのは、あなたがそれだけ真剣に利用者様と向き合おうとしている証拠です。ここでは、現場でよくある迷いや疑問について、エビデンスに基づいた解決のヒントを整理しました。

Q
利用者様にイライラしてしまうのは、私が介護職に向いていないからでしょうか?
A

苛立ちは、多忙な業務や「他職員に迷惑をかけたくない」という思いから一人で業務を抱え込んでしまうことで、誰にでも起こり得る構造的なプロセスです。自分を否定するのではなく、まずは自分の負担が限界に近いことを認めることが大切です。

出典元の要点(要約)

一般社団法人 日本社会福祉学会

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「一人で抱え込み,苦しんでしまう」とは‘業務を他職員に手伝ってもらいたいと思っていても,他職員の負担のことを考えると助けを求められない。結果的には業務を一人で抱え込み,苦しんでしまい,苛立ちやすくなるという悪循環があった。’

一般社団法人 日本社会福祉学会

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「“苛立つ自分への嫌悪・否定”とは‘利用者にイライラしてしまった自分に対して嫌悪感を抱いたり,援助者としての自分を否定してしまうこと’である。」「『次の人に迷惑をかけるよなっていう感覚はやっぱりあるので,どうにか自分の中で収めたい』」

Q
忙しい時に利用者様を急かしてしまい、自己嫌悪に陥ります。どうすれば冷静になれますか?
A

苛立ちが蓄積すると、無意識に対応が乱暴になる「自然に乱れる介護」が起きやすくなります。カッとなったときこそ「一呼吸待つ姿勢」を意識し、利用者様の反応を待つことで、お互いの心理的なぶつかり合いを和らげる助けとなります。

出典元の要点(要約)

一般社団法人 日本社会福祉学会

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「“自然に乱れる介護”とは‘利用者との関わりのなかで,自然に声がけが乱暴になったり,利用者への対応が乱暴になってしまうこと’である。」「諸種の苛立ちが重なり,自分の中にたまり,つい利用者への対応の場面で,声を荒げてしまったり,スピーチロックをしてしまったりと,自然と自分の介護が乱れていくということである。」

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

医療者は本人の意思を読み取るために反応を一呼吸待つ姿勢が求められます。

Q
言葉でのコミュニケーションが難しい方の「本当の願い」をどう知ればよいですか?
A

言葉だけでなく、身振り手振りや表情の変化を「意思表示」として丁寧に読み取る努力をします。また、背景にある「痛み」「不快な環境」「不安」などの要因を一つずつ確認し、何がBPSD(周辺症状)を引き起こしているのかを観察することが重要です。

出典元の要点(要約)

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

言語による意思表示が困難な場合、支援者は患者の身振り手振りや表情の変化を意思表示として読み取る努力を最大限に行う必要があります。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSDは、認知症に伴う知覚、思考内容、気分、行動の障害と定義されます。脳の器質的変化を背景に、身体的要因(痛みや薬の副作用等)、環境的要因(入院等による環境変化、不適切な刺激)、心理・社会的要因(不安、孤独、ストレス等)が複雑に絡み合って誘発されます。

日々の業務のなかで、自分の感情をコントロールするのはとても大変なことです。イライラしてしまうのはあなたが未熟だからではなく、それだけ過酷な環境で「良いケアをしたい」と踏ん張っている証拠です。一人で抱え込まず、限界を感じたら周囲に助けを求めることも、利用者様の安全と尊厳を守るためのプロの大切な仕事です。自分を大切にしながら、少しずつ慣れていきましょう。


まとめ:自分を責めず、一呼吸から始める明日のケア

新人介護士の方が現場で感じる苛立ちは、個人の性格や資質の問題ではなく、過度な業務負担や「周囲に迷惑をかけたくない」という思いから一人で業務を抱え込んでしまうという構造的な問題から生じるものです。この心の余裕のなさが、無意識に対応を乱れさせる「自然に乱れる介護」を引き起こし、さらなる自己嫌悪を招くという悪循環を生んでしまいます。まずは、苛立ちが頑張りすぎている自分からのサインであることを認め、援助者としての自分を否定しないことが、心の健康を守る第一歩となります。

また、利用者様が示す拒否や暴言(BPSD)についても、それを攻撃と受け取るのではなく、背景にある身体的な痛み、環境による不快感、心理的な不安などが絡み合った「本人からのメッセージ」として捉え直すことが大切です。焦りを感じたときこそ、反応を一呼吸待つ姿勢を意識することで、ご本人の意思や表情の変化を読み取りやすくなり、結果としてお互いのストレスを軽減するケアへと繋がっていきます。

日々の多忙な業務を全て完璧にこなすことは困難ですが、限界を感じたときに周囲へ助けを求めることは、不適切な介護を防ぐためのプロの判断です。一人で抱え込まず、チームで連携しながら、ご本人の自尊心とあなた自身の心、その両方を大切にする関わりを少しずつ積み重ねていきましょう。

出典元の要点(要約)

一般社団法人 日本社会福祉学会

社会福祉学 第60 巻第4 号 56‒67 2020 介護職員が利用者に対して苛立っていくプロセス―修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて―

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssw/60/4/60_56/_pdf

「一人で抱え込み,苦しんでしまう」とは‘業務を他職員に手伝ってもらいたいと思っていても,他職員の負担のことを考えると助けを求められない。結果的には業務を一人で抱え込み,苦しんでしまい,苛立ちやすくなるという悪循環があった。’「“自然に乱れる介護”とは‘利用者との関わりのなかで,自然に声がけが乱暴になったり,利用者への対応が乱暴になってしまうこと’である。諸種の苛立ちが重なり,自分の中にたまり,つい利用者への対応の場面で,声を荒げてしまったり,スピーチロックをしてしまったりと,自然と自分の介護が乱れていくということである。」

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版

https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/nintishomanual2025.pdf

BPSDは、認知症に伴う知覚、思考内容、気分、行動の障害と定義されます。脳の器質的変化を背景に、身体的要因(痛みや薬の副作用等)、環境的要因(入院等による環境変化、不適切な刺激)、心理・社会的要因(不安、孤独、ストレス等)が複雑に絡み合って誘発されます。医療者は本人の意思を読み取るために反応を一呼吸待つ姿勢が求められます。

厚生労働省

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf

言語による意思表示が困難な場合、支援者は患者の身振り手振りや表情の変化を意思表示として読み取る努力を最大限に行う必要があります。本人が自らの意思に基づいた生活を送れるよう、意思決定支援チーム等で協力し、意思形成・表明・実現を支えることが求められます。

最後までご覧いただきありがとうございます。この記事がお役に立てれば幸いです。



更新履歴

  • 2025年12月31日:新規投稿

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