現場では「入浴拒否」に直面し、人手不足や時間がない中で、つい無理強いをしてしまう罪悪感に苛まれることもあるでしょう。
教科書通りの「待つケア」が難しい現実のなか、全部は無理でも、まずは安全と信頼関係だけを守る、現実的な着地点を一緒に探りましょう。
この記事を読むと分かること
- 拒否の裏にある本当の理由
- 自尊心を守る声掛けの技術
- 無理強いしない判断基準
- 安全を守る具体的数値
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
結論:入浴ケアの「成功」とは?無理強いせずに「次」につなげる

現場では「入浴拒否」にあうと、業務が押してしまい焦ることがあります。先輩からの「早く入れて」というプレッシャーの中で、つい強い口調になってしまい、後で自己嫌悪に陥ることも。
理想的なケアをしたくても、時間と人手が足りないのが現実です。ここでは、そんな過酷な状況下で、私たちが守るべき「最低限のライン」を確認しましょう。
「清潔」と「リラックス」の両立を目指す
認知症介護における入浴の目的は2つあります。1つは「皮膚を清潔にし、細菌感染を予防する」こと。もう1つは「心身機能を高め、心身をリラックスさせること」です。
重要なのは、この2つの目的を同時に達成することです。どちらか一方、たとえば「清潔にすること」だけを目的にして、本人が嫌がっているのに無理やり入浴させることは、本来の目的から外れてしまいます。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「認知症高齢者への入浴介護の目標としては、2つの目的を同時に達成するようなサポートをすることです」
拒否されたら「撤退」も勇気あるケア
もし入浴を強く拒否された場合、無理に入浴させることは「絶対にやめるべき」とされています。無理やり入浴させることは、2つの目的のうち「心身のリラックス」を達成できないだけでなく、恐怖心や不信感を植え付け、次回以降の拒否をさらに強固にしてしまうからです。
「清潔保持」だけを優先して本人の気持ちを無視することは、結果的に介護をより困難にします。「今日は無理せず、清拭や足浴に切り替える」という判断も、立派な専門的ケアの一つです。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「2つの目的を同時に達成できない介護は、絶対にやめるべきでしょう」「高齢者の気持ちを無視し、何がなんでも無理矢理入浴、洗髪等をさせる場合」「非常に危険ですのでやめてください」
「快感情」を残すことが次回の成功への鍵
認知症の方は、詳しい出来事の記憶は失われても、「嫌だった」「怖かった」という感情の記憶は長く残ると言われています。逆に入浴介助を通じて「気持ちよかった」「さっぱりした」という快感情を残すことができれば、次回の誘導がスムーズになる可能性があります。
そのためには、介護者との信頼関係が不可欠です。「この人は私に良くしてくれる人だ」と思ってもらえるような、日頃からの笑顔や優しい声掛けの積み重ねが、入浴場面での安心感につながります。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「認知症の方は記憶の障害はありますが、感情は残ると言われています」「介護者との個人的な信頼関係を築くことで、『あの人は私に良くしてくれる人だ!』と思ってくれるようになれば快感情の時間はどんどん長くなっていきます」
無理強いをして関係を壊すよりも、良い関係を保ったまま「また明日」と引く方が、長期的には成功への近道です。今日の入浴ができなかったとしても、笑顔で終われるならそれは一つの成果です。
声掛けで拒否を和らげる5つの実践ポイント

「入浴拒否」の多くは、本人のわがままではなく、認知機能の低下により「何をされるか分からない不安」や「自尊心が傷つくことへの防御」から生じています。 ここでは、その不安を取り除き、本人の意思を引き出すための具体的な5つの技術を紹介します。
1. 短い言葉・敬語で伝える
一度に多くの情報を伝えると、認知症の方は混乱してしまいます。「お風呂が沸いたので、着替えを持ってきて入ってください」といった長い文章ではなく、「お風呂に行きましょう」と短く区切って伝えます。
また、認知症になっても「自尊心」や「羞恥心」は残っています。子供扱いせず、敬語を使って人生の先輩として接することが、信頼関係の基本です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法-認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
「認知症の人とのかかわり方のポイント:②短文でわかりやすい表現を使う」「自尊心を尊重する(幼児語を使ったり、子ども扱いをしない)」
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「認知機能の低下が著明な場合、声かけに複数の内容が含まれていたり遠回しな表現になっていたりすると、正確に伝わらなく逆に不信感を招く場合があります」「短い単語で声かけする」
2. 具体的な「選択肢」を示す
「お風呂に入りますか?」という問いかけ(Yes/No)は、拒否されやすい傾向があります。代わりに「足湯にしますか?シャワーにしますか?」のように、本人にとってメリットのある選択肢を提示します。
たとえ些細なことでも「自分で選んだ(自己決定した)」という感覚が、納得感と協力的な行動を引き出します。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
「選択肢を示す場合には、可能な限り複数の選択肢を示し、比較のポイントや重要なポイントが何かをわかりやすく示したり(中略)することが有効な場合がある」
3. 反応があるまで「間(ま)」を置く
加齢や認知症により、言葉を聞いてから意味を理解し、行動に移すまでの処理速度は低下します。こちらが「返事がないから」と矢継ぎ早に言葉を重ねたり、勝手に体に触れたりすると、恐怖心を与えてしまいます。
声をかけたら、アイコンタクトを取りながら、本人が動き出すまでじっくりと「待つ」ことが大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法-認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
「処理速度の低下 : ゆっくり説明されないと理解できない、テンポの速い作業についていけない」「声かけや対応は、相手としっかりアイコンタクトを取りながら、ペースもゆっくりと、理解することができ、思考と動作が伴うスピードで行う配慮が必要です」
4. 行動をすぐに「承認」する
脱衣所に来てくれた、服のボタンに手をかけた、といった小さな行動の一つひとつに対して、「ありがとうございます」「脱げましたね」と声をかけます。
肯定的なフィードバックを即座に返すことで、「これで合っているんだ」という安心感が生まれ、次の動作へスムーズにつながります。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「誘導に応じてくれた時には『ありがとう』のひと言が大切です」「安心感と信頼感が生まれ、次の誘導も快く受け入れてくれるようになるかもしれません」
5. 先に「安全・快適」を整える
声掛けの前に、環境を整えることが先決です。特に冬場の脱衣所の寒さや、熱すぎるシャワーは、本能的な「不快感」として拒否の強い原因になります。
「入れば気持ちいい」と分かっていても、入るまでの寒さが壁になります。脱衣所を暖房で温め、お湯の温度を確認しておく準備が、声掛けの成功率を上げます。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「浴室、浴槽、シャワーの温度を事前に整えておくことはスムーズな入浴のためには必要な準備です」「脱衣室や浴室に暖房をかけるという方法もあります」
これらのポイントは、一度にすべて完璧に行う必要はありません。まずは「今日は『待つ』時間を少し長くしてみよう」「脱衣所だけはしっかり暖めておこう」など、できることから一つずつ試してみてください。
現場でよくある「拒否」の3パターンと解決の視点

ここでは、現場で頻繁に遭遇する「典型的な拒否パターン」を3つ挙げます。
マニュアル通りに声をかけてもうまくいかない時、そこには本人なりの「切実な理由」が隠れています。表面的な拒否の言葉にとらわれず、その裏にある「寒さ」「恥ずかしさ」「恐怖」に目を向けることで、打開策が見えてきます。
事例1:脱衣所で「服を脱がない」「寒い」と怒り出す
- 状況
- 浴室までは誘導できたものの、脱衣所で「寒い!」と怒り出したり、頑なに服を脱ごうとしなかったりするケースです。
- よくある誤解
- 「入浴を嫌がっている」と捉えがちですが、実際は「温度差への不快感」や「裸になる羞恥心」が原因であることが多くあります。高齢者は寒さに敏感で、服を脱ぐことへの抵抗感も強いため、ここでのつまづきが多くなります。
- 押さえるべき視点
- まずは「室温」と「プライバシー」を見直します。脱衣所や浴室を事前に暖房やシャワーで暖めておくことは必須です。また、「お風呂」と言うと身構えてしまう場合は、「体重を測りましょう」「着替えましょう」といった別の目的で誘導し、自然な流れで脱衣につなげる工夫が有効です。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「一般に高齢者は寒さに敏感だといわれています」「交換時に毛布を掛けたり、あらかじめ居室を温めたりして、寒さによる不快感を軽減すること」「例えば、『薬を塗りたいので』や『体重を測りたいのですが』など、衣服を脱ぐことが自然に行える」
事例2:シャワーや洗髪を「痛い」「怖い」と極端に嫌がる
- 状況
- 浴槽には入るものの、体を洗う段になると抵抗したり、頭にお湯をかけようとすると「殺される!」と叫んだりしてパニックになるケースです。
- よくある誤解
- 「不潔になるのが平気になった」わけではありません。認知機能の低下により、頭からお湯をかぶる行為が「溺れる恐怖」や「視界が遮られる恐怖」として知覚されている可能性があります。
- 押さえるべき視点
- いきなりシャワーをかけず、足元から徐々にお湯をかけます。洗髪時は「顔に水がかかること」が最大の恐怖要因になるため、タオルで目や耳を押さえてもらったり、シャンプーハットを活用したりして、水が顔に流れないよう配慮します。美容院のような環境(洗面台での洗髪)に変えることも一つの手です。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「通常の洗髪のようにシャワーを頭部に掛けることは、強い恐怖心や不快感を残し今後の洗髪に大きな悪影響を及ぼすことになりかねません」「洗髪前にタオルで目と耳を押さえてもらったり、シャンプーハットをかぶってもらったりし、目や耳に湯がかかるのを防ぐ」
事例3:特定のスタッフや時間帯だと「入らない」と拒絶する
- 状況
- ベテラン職員ならスムーズに入るのに、新人や特定の職員だと強く拒否される。または、夕方になると機嫌が悪くなり入浴を断固拒否するケースです。
- よくある誤解
- 「人を見ている」「わがままだ」と職員が傷つくことがありますが、これは相性の問題だけではありません。認知症の方は「気分が変わりやすい」特徴があり、たまたまその時の体調やタイミングが合わなかっただけのことも多いのです。
- 押さえるべき視点
- 一度断られても「今はその時ではない」と割り切り、時間を空けて再トライするか、担当者を変えてみます。しつこく説得すると逆効果になるため、あっさりと引き下がり、本人の気分が変わるのを待つ余裕を持つことが、結果的に近道になります。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「声かけをして『入りたくない』と言ったからといっても、次の機会には成功する可能性があります」「認知症の症状の一つには気分が変わりやすいという特徴もあります」「一度であきらめずに時間を変え、人を変え、何度かトライすることをお勧めします」
拒否には必ず「寒さ」「恐怖」「タイミング」などの理由があります。正面突破しようとせず、環境や手順を少し変えるだけで、すんなり受け入れてもらえることも少なくありません。
拒否は「わがまま」ではない。背景にある2つの理由

「入浴拒否」は、介護現場で最もストレスフルな場面の一つです。「さっきは入ると言ったのに」「人によって態度が違う」といった理不尽な対応に、心が折れそうになることもあるでしょう。
しかし、その拒否には、認知症という病気と環境が生み出す「切実な理由」があります。その背景を知るだけで、「わざと私を困らせているわけではない」と理解でき、心の負担が軽くなります。
1. 認知機能の低下による「不安と恐怖」
認知症の中核症状である「記憶障害」や「見当識障害」により、本人は「なぜ服を脱ぐのか」「ここはどこか」が分からなくなっていることがあります。
私たちにとっては当たり前の「入浴」でも、本人にとっては「見知らぬ場所で、見知らぬ人に服を脱がされる」という恐怖体験になっている可能性があります。特に「裸になる」ことは無防備で恥ずかしい行為であり、意味が理解できなければ全力で抵抗するのは、自分を守るための当然の防衛本能です。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「認知症の人は、その症状が進むにつれて、入浴そのものの意味や状況の理解が難しくなってきます」「強制的に入浴させるということは…見ず知らずの赤の他人にいきなり服を剥ぎ取られることになるわけです」
厚生労働省
認知症ケア法-認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
「能力低下や周囲の変化に対する不安や戸惑い」「『ボケ』扱いや子ども扱いされることによる自尊心の傷つき」
2. 介護者の「焦り」が伝染する悪循環
「時間内に終わらせなきゃ」「早く服を脱いで」という介護者の焦りやイライラは、言葉にしなくても敏感に伝わります。
認知症の方は、言葉の意味を理解する力は低下しても、「感情を読み取る力」は保たれています。怖い顔で迫ってくる相手に対し、「何をされるか分からない」という恐怖から暴言や暴力で対抗してしまうのです。この悪循環は「作られたBPSD(行動・心理症状)」とも呼ばれ、関わり方次第で防ぐことができるものです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省認知症ケア法-認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
「言葉が分からなくても、表情が険しい人や怖い雰囲気で話す人(中略)自分の身を任せようと思うでしょうか」「なんとなく怖いとか嫌だと思い結果拒否に繋がってしまいます」
認知症介護研究・研修仙台センター
初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「介護者の都合で、今交換したい、と思えば思うほど、本人はその焦りを感じて不快感情を持つことがあります」
拒否は、本人からの「怖い」「分からない」「助けて」というサインです。そのサインを受け止め、安心感を与えることが、拒否を和らげる唯一の近道です。
よくある質問(FAQ)
- Q全くお風呂に入ってくれない時はどうすればいいですか?
- A
無理強いはせず、時間を空けたり、担当者を変えたりして再度トライしてみてください。 それでも難しい場合は、入浴という行為にこだわらず、「足浴」や「手浴」から始めて「温かくて気持ちいい」という感覚を思い出してもらうことが有効です。まずは小さな成功体験を重ねることを目指しましょう。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター
初めての認知症介護食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「一度であきらめずに時間を変え、人を変え、何度かトライすることをお勧めします」「入浴ではなく先ず『足浴』をしていただき、その『気持ちよさ』を実感してもらってから、入浴へと繋げる方法などもあります」
- Q洗髪を極端に嫌がって暴れる場合はどうしたらいいですか?
- A
顔や目に水がかかることへの「恐怖」が原因であることが多いため、シャンプーハットを使ったり、タオルで顔を覆ったりして水がかからないよう配慮します。 どうしても嫌がる場合は、無理に洗おうとせず、ドライシャンプーや蒸しタオルでの清拭に切り替えてください。「洗髪=怖い」という記憶を作らないことが最優先です。
出典元の要点(要約)
認知症介護研究・研修仙台センター 初めての認知症介護
食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「通常の洗髪のようにシャワーを頭部に掛けることは、強い恐怖心や不快感を残し今後の洗髪に大きな悪影響を及ぼすことになりかねません」「無理強いせずに、『ドライシャンプー』等を上手く利用して、頭髪の清潔を保つ方法などもあります」
- Q最初に何と声をかければいいですか?
- A
「お風呂に入りなさい」という指示や命令ではなく、「汗を流しませんか?」「さっぱりしましょう」といった「お誘い(勧誘)」の形で伝えます。 また、「お風呂」という言葉自体に抵抗がある場合は、「着替えましょう」「体重を測りに行きましょう」など、別の目的を伝えて脱衣所まで誘導し、自然な流れで入浴につなげる方法も効果的です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
認知症ケア法-認知症の理解
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf
「自尊心を尊重する(幼児語を使ったり、子ども扱いをしない)」「短文でわかりやすい表現を使う」
認知症介護研究・研修仙台センター
初めての認知症介護 食事・入浴・排泄編 解説集
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/35/35.pdf
「例えば、『薬を塗りたいので』や『体重を測りたいのですが』など、衣服を脱ぐことが自然に行えることで、そのまま入浴することができる場合もあります」
まとめ:「完璧な入浴」よりも「笑顔で終わる」ことを目指して
入浴ケアは、介護の中でも特に体力と気力を使う大変な業務です。 「時間内に終わらせたい」という思いと、「本人の気持ちを大切にしたい」という思いの間で、日々葛藤されていることと思います。
しかし、今回ご紹介したように、認知症の方の拒否には必ず「理由」があります。 まずは、以下の5つのポイントを少しずつ取り入れてみてください。
- 短い言葉・敬語で、分かりやすく伝える
- 具体的な選択肢を示し、自分で選んでもらう
- 焦らずに反応を待つ時間を持つ
- 小さな行動もすぐに承認し、安心感を与える
- 事前に安全・快適な環境(温度など)を整えておく
全てを一度に実践する必要はありません。「今日は脱衣所をしっかり暖めておこう」「最初の一言だけ変えてみよう」など、できることから一つずつ試してみてください。
無理をして関係をこじらせるよりも、今日は「足浴」で笑顔で終われたなら、それは大きな成功です。 この記事が、日々のケアの負担を少しでも軽くするヒントになれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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更新履歴
- 2025年9月12日:新規公開
- 2025年12月5日:より詳細なエビデンス(根拠)に基づき解説を充実させるとともに、最新のサイト基準に合わせて構成・レイアウトを見やすく刷新しました。


