食形態変更では、「気になるけれど触らない方が無難かもしれない」と感じる場面があります。
現場では、むせや食べにくさに気づいても、変更後に何か起きたときの説明や責任が頭をよぎり、現状維持が選ばれやすくなります。丁寧に見ている人ほど仕事が増え、記録も共有も背負いやすいので、ちゃんとやる人だけが損をする感覚につながることもあります。
この記事では、介護士が食形態変更を避けやすい背景を、意識の問題ではなく責任を個人で抱えやすい構造として整理します。そのうえで、変更を独断で決めるのではなく、観察と記録を材料にしてチームへ渡す流れを確認します。
この記事を読むと分かること
- 食形態変更で現場が止まりやすい理由
- よくある迷い方とすれ違い
- 介護士が担うべき観察の視点
- 多職種へつなぐ共有の流れ
- 家族説明と事故対応の考え方
一つでも当てはまったら、この記事が役に立ちます
食形態変更は介護士だけで決めず、観察依頼としてチームに渡す

介護士が食形態変更を避けるのは、意識が低いからとは限らず、動いた人が責任を背負わされやすいからです。
現場では、「この人には今の食形態が合っていないかもしれない」と感じても、変更後にむせる、詰まる、肺炎になる、家族から責められるといった不安が先に立ちます。だからこそ、変えるか変えないかを一人で抱えるほど、誰も触りたくない空気になりやすいです。
食事介助は、ただ食べさせるだけではありません。むせ、口の中の残り、食後の痰、疲れ方、食べる速さまで見ているのに、最終決定権は別のところにある。このねじれがあるままでは、丁寧に見た人ほど疲弊しやすくなります。ここで必要なのは、変更の決定者になることではなく、変更を検討すべき材料を集めて渡すことです。
介護士の役割は食形態を決めることではなく観察材料を集めることです
現場では、毎食の食べ方を一番近くで見ているのが介護士です。それでも、その場で食形態を決めきる役割まで背負うと、観察より自己防衛が先に立ちやすくなります。
大切なのは、決める人と気づきを拾う人を分けることです。観察した内容を記録し、多職種へ「評価をお願いします」と渡せば、勝手に変えた形を避けやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
しかしながら、個々の介護職員の知識・技術や経験は、一様ではありません。各事業所においては、日頃より多職種間で情報を共有したり、緊急時の対応や個別の対応が必要な利用者の介護方法などについて、組織としての検討や介護技術の研修を実施することが必要です。
食形態は下げるか上げるかではなく本人に合っているかを見ます
食形態変更は、下げれば安全、上げれば危険と単純には切れません。安全寄りに見える対応でも、食べる量や楽しみが落ちることがあり、逆方向でも別の不安が出ます。
そのため、見るべきなのは上下の操作そのものより、今の形が本人の状態に合っているかです。介護士は、そのズレを見つける観察役として関わる方が現実的です。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
食事形態のレベルアップ(またはダウン)の判断は、発熱、むせの有無、痰の量・性状を含む呼吸状態の評価により摂取中の食形態の安全性の判断に加え、食事に要する時間、疲労度、口腔内残留、湿性嗄声、咀嚼の様子などにより食形態が適正かを判断していることが伺われた。
むせだけで即判断せず複数のサインを記録します
気になる場面で「むせたかどうか」だけを見ると、現場の判断は荒くなりやすいです。むせがないことを安全の証拠にしてしまうと、違和感の共有が遅れます。
記録では、むせ・湿った声・口腔内残留・食後の痰・食事時間・疲労のように、複数のサインを並べて残すことが大切です。観察依頼の材料が増えるほど、個人判断ではなくチーム判断に近づきます。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
観察評価で、明らかにむせが見られる場合は誤嚥を予測するが、むせなくても誤嚥するという不顕性誤嚥は観察評価の「むせ」だけでは検知できない。そこで、頸部聴診、声質の変化、呼吸観察の3項目を誤嚥の補助項目として設定した。
事故への不安は個人責任でなく組織のリスクマネジメントで扱います
現場では、事故が起きた後だけ担当職員が前に出されると、次から動きにくくなります。報告した人が損をすると感じる空気があると、違和感も上がりにくくなります。
本来は、食事場面の不安もヒヤリ・ハットも、職員個人ではなく施設全体の課題として扱うべきです。責任追及より改善を目的にした運用でないと、現場は止まりやすいままです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
ヒヤリ・ハット/事故報告の目的は、職員の責任追及ではなく利用者に対するケアの改善であり、仕組みを構築する際には、報告を活性化するための工夫が重要です。
家族説明は後出しにせず方針とリスクを先に共有します
食形態を巡る説明が事故後だけになると、現場の言い訳のように受け取られやすくなります。家族との関係がこじれると、介護士個人がその場で抱え込みやすくなります。
だからこそ、入所時や状態変化時から、安全だけでなく食べる楽しみや摂取量とのバランスも見ながら多職種で判断する方針を共有しておくことが重要です。先に伝えておくほど、後から個人が背負いにくくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
利用者の家族にはケアの一端を担うパートナーとなってもらい、リスクに関する情報はすべて開示・共有し、ケア方針の意思決定に参画してもらうことが重要です。入所時には利用者自身も含めて施設での生活やケアの内容、発生しうるリスクについて十分な情報提供を行い、理解を得ることが大切です。
食形態変更で最初に必要なのは、一人で決める勇気ではなく、観察を記録してチームへ渡す流れです。個人責任ではなく組織の判断に近づけるほど、現場は動きやすくなります。
食形態変更で現場が止まりやすいよくある事例

現場では、違和感はあるのに誰も「変えましょう」と言い出せないまま、今のやり方が続くことがあります。安全を優先したい気持ちと、動いた人だけが責められたくない気持ちが重なると、判断そのものが止まりやすくなります。
食事中は、むせだけでなく声の変化や口の残り、食後の様子まで気になります。けれど、そこまで見て記録し、さらに共有する余力がないと、「今崩れていないならこのままでいいか」に流れやすいです。こうした場面では、気合いで丁寧さを足すより、何を見てどう渡すかを決めておく方が動きやすくなります。
合っていない気がしても誰も変更を口にしない
現場では、食べにくそう、疲れてきている、口に残っていると感じても、変更後に何かあったらどうするのかが先に気になることがあります。そうなると、違和感に気づいた人ほど口を閉じやすくなり、現状維持が続きます。
食形態は、今の形が本人に合っているかを見ながら判断する必要があります。困るのは、違和感があっても共有材料が少ないと「何となく気になる」で止まりやすいことです。よくある誤解は、変更を提案すること自体が最終判断になると思ってしまうことです。押さえたいのは、変更の指示ではなく観察と評価の依頼として共有する視点です。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
食事形態のレベルアップ(またはダウン)の判断は、発熱、むせの有無、痰の量・性状を含む呼吸状態の評価により摂取中の食形態の安全性の判断に加え、食事に要する時間、疲労度、口腔内残留、湿性嗄声、咀嚼の様子などにより食形態が適正かを判断していることが伺われた。
むせがないから大丈夫、むせたから即変更になりやすい
食事介助の場では、忙しいほど見やすいサインだけに寄りやすく、むせの有無で話が終わることがあります。小さな違和感があっても、咳が出ていないと共有の優先度が下がりやすいです。
観察では、むせだけで安全性を見切れません。困りごとは、むせがない場面でも見落としがありうることです。よくある誤解は、むせがなければ現状維持でよい、むせたら即座に上下どちらかへ変えればよいと単純化することです。押さえるべき視点は、声質の変化や呼吸観察も含めて見ることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
観察評価で、明らかにむせが見られる場合は誤嚥を予測するが、むせなくても誤嚥するという不顕性誤嚥は観察評価の「むせ」だけでは検知できない。そこで、頸部聴診、声質の変化、呼吸観察の3項目を誤嚥の補助項目として設定した。
記録が薄くて多職種へつなげにくい
食事の場面で違和感があっても、「少しむせた」「食べにくそう」だけでは、次の人が判断しにくいことがあります。記録が短すぎると、現場の迷いは残っても評価へつながりにくくなります。
実際には、食事場面の観察情報が重視されています。困るのは、記録が薄いと評価の材料にならず、同じ迷いが毎食くり返されやすいことです。よくある誤解は、忙しい現場では細かな記録はなくても伝わるはずだと考えることです。押さえるべき視点は、むせ、湿った声、口腔内残留、食事時間、疲労のように項目で残すことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
本アンケートの結果では、推奨食事形態の決定に、スクリーニング検査よりも実際の食事場面の観察からの情報が重視されていることが伺われた。
家族から責められそうで現場だけで抱え込む
食事中の変化があったとき、その場でどう説明するかに不安が出ると、介護士が一人で何とかしようとしやすくなります。後から話がずれるのを避けたくて、慎重になりすぎる場面もあります。
事故やリスクの説明は、個人の受け答えだけで背負うものではありません。困りごとは、家族説明が後手になるほど、現場の言い訳のように見えやすいことです。よくある誤解は、その場で詳しく判断や謝罪までしないと誠実ではないと思うことです。押さえるべき視点は、リスク共有と方針説明を組織で行うことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
利用者の家族にはケアの一端を担うパートナーとなってもらい、リスクに関する情報はすべて開示・共有し、ケア方針の意思決定に参画してもらうことが重要です。
食事介助が回るだけで精一杯になり観察が後回しになる
離床、見守り、排泄、記録が重なる時間帯では、食事介助も「事故なく終える」ことが最優先になりやすいです。その中で細かい観察まで続けると、丁寧にやる人へ負担が寄りやすくなります。
多職種の取組では、事前確認、実際の観察、事後の協議、再評価の流れが組まれています。困るのは、現場だけで回し切ろうとすると、その流れが個人の頑張り次第になりやすいことです。よくある誤解は、忙しい日は細かな観察や共有は後回しでも仕方ないと固定化してしまうことです。押さえるべき視点は、観察を一人の善意ではなく流れに組み込むことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査
https://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol25.html
いずれの取組も、多職種チームが、事前カンファレンスにおいて、対象者ごとに現在の食形態などの方針とそれに伴う課題を確認した後、実際に摂食状況を観察・評価し、適切な食事形態、食事の姿勢、食具・食器、介助方法などについて介護職員に実地指導を行う。その後、事後カンファレンスにおいて、チームで今後の介助方法やケア方針の協議や再評価要否の確認を改めて行う。
よくあるのは、違和感があっても判断材料と共有の流れが足りず、現状維持へ流れることです。個人の勇気より、観察項目と共有先を決めておく方が現場では続きやすいです。
なぜ食形態変更は動いた人だけが背負いやすいのか

現場では、今の食形態に違和感があっても、「では誰が責任を持って変えるのか」で空気が止まりやすくなります。このような状況が起きる背景には、観察と判断と説明が個人へ寄りやすい運用が関係しています。ここでは、食形態変更が止まりやすい理由を整理します。
食事の場面で細かく見ているのは介護士でも、最終判断や家族説明まで一人では担いきれません。それでも事故後だけ当事者のように扱われると、次からは「触らない方が安全かもしれない」に傾きます。こうした場面では、優しさや注意力の不足として見るより、役割分担と手順の弱さとして見た方が立て直しやすいです。
報告が責任追及の入り口に見えるからです
ヒヤリとした場面を上げたあとに責められる空気があると、次からは言いにくくなります。気づいた人が損をする感覚が残ると、観察しても共有まで届きにくくなります。
報告が止まりやすいのは、改善の材料ではなく責任追及の入口に見えてしまうからです。理想は、気づきを早く上げてケア改善につなげることです。現実には、叱責や負担増への不安があると萎縮が起きます。そのズレが生む問題は、違和感が埋もれて現状維持が強くなることです。押さえるべき視点は、報告の目的を改善に固定することです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
職員への責任追及が行われていないか。叱責される恐れがある場合、報告を避ける意識が働きます。事故は職員個人ではなく施設全体の課題と捉え、職員が萎縮しない環境作りを意識しましょう。
観察だけでは見落としがありうるからです
食事中に近くで見ていても、見えているものだけで安全性を言い切れない場面があります。気になるのに言葉にしづらいときほど、「今回は大丈夫だった」で流したくなります。
観察が必要なのに同時に限界もあることが、迷いを深くします。理想は、観察だけでなく必要に応じて再評価し、見落としを減らすことです。現実には、むせがない場面でも判断材料が足りないことがあります。そのズレが生む問題は、何を根拠に動くかが曖昧になることです。押さえるべき視点は、一回の観察で決め切らず、食後も含めて繰り返し見ることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
観察評価の結果で、経口摂取を許可できない嚥下障害があることへの検出率を検討すると、特異度は86.9%で、p<0.001であった。しかし、観察評価の偽陰性率も60%であり、見落としがありうることが分かった。これは観察評価の予想された限界をしめすものであり、臨床的には、繰り返し評価をしたり、食後の観察などで対処する必要性があることを示唆している。
多職種での確認が弱いと介護士が決定者のように見えるからです
食形態の違和感を介護士が最初に拾うことは多いですが、その後の確認先が曖昧だと、そのまま決定まで背負っているように見えやすくなります。現場では、見ている人と決める人の境目がぼやけるほど疲れます。
食形態は多職種で分析し、適切な形や介助方法を導く前提です。理想と現実のズレは、次のように整理できます。
| 理想 | 現実 |
|---|---|
| 多職種で状況、原因、改善策を分析する | 最初に気づいた介護士の判断に寄りやすい |
| 観察後にカンファレンスで方針を整える | 忙しさで共有が断片的になりやすい |
このズレが生む問題は、介護士が勝手に変えた、または何もしていないと受け取られやすいことです。押さえるべき視点は、観察後にチームで協議する流れを前提にすることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査
https://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol25.html
摂食嚥下の障害は、誤嚥による肺炎や窒息事故などのリスクを高めるため、多職種の専門職がチームを結成して要介護高齢者の障害の状況、原因及び改善策などについて多角的に分析し、適切なレベルの食形態や介助方法を導き出すことが必要である。
手順が曖昧だと普段と違う変化を拾っても流れやすいからです
その日の食べ方がいつもと違っていても、どう報告し、誰につなぐかが決まっていないと、目の前の対応だけで終わりやすくなります。忙しいときほど、気づきはあっても次の行動が抜けやすいです。
なぜ起きるのかというと、普段と異なる状態への対応が手順化されていないからです。理想は、変化があれば決まった流れで連絡や相談ができることです。現実には、本人や家族を含めた事前の話し合いまで十分でないことがあります。そのズレが生む問題は、現場の判断がその場しのぎになりやすいことです。押さえるべき視点は、普段と違う時の手順を先に決めておくことです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省原則として医行為ではない行為に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
介護職員は、利用者の状況等を観察しながら、当該行為を実施することが求められます。もし、利用者の状況が普段と異なる場合などには、医療職への連絡等あらかじめ定めた手順にそって必要な対応がとれるように、本人や家族等を含めた関係者であらかじめ話し合っておくことが重要です。
家族説明が後手になると現場の説明が個人対応になりやすいからです
食事場面の変化が起きてから慌てて説明すると、現場の言い回しひとつに重みが集まりやすくなります。介護士がその場で何とかまとめようとするほど、後で話がずれやすいです。
後手になりやすいのは、リスクと方針の共有が前もって整理されていないからです。理想は、家族もケア方針の意思決定に参加し、リスク情報が共有されている状態です。現実には、説明が事故後や指摘後に寄りやすいことがあります。そのズレが生む問題は、現場職員だけが説明責任を背負っているように見えることです。押さえるべき視点は、家族説明を個人対応ではなく組織対応にすることです。
出典元の要点(要約)
厚生労働省介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
事故情報は職員に対しても開示し、職員が個人的な判断や推測のもとに回答することがないよう徹底する。多職種・他部門で収集した情報や原因分析をとりまとめ、現場のリソースやコストも踏まえ再発防止策を検討する。職員個人ではなく、事業所全体で検討を行う。
食形態変更が止まりやすいのは、気づきがあっても報告、再評価、家族説明まで個人へ寄りやすいからです。役割分担と手順を整えるほど、現場は責任ではなく観察に集中しやすくなります。
食形態変更で現場が迷いやすいこと
現場では、違和感があっても何を根拠に共有すればよいのか迷うことがあります。動いた人だけが責任を負う形になりたくない気持ちがあると、相談のタイミングも遅れやすいです。
- Q食形態を変えてくださいと言い切れない時、介護士はどう共有すればよいですか。
- A介護士がまず行いたいのは、変更の決定ではなく観察内容の共有です。食事中や食後の様子が普段と異なる時は、医療職への連絡等をあらかじめ定めた手順に沿ってつなぐ視点が大切です。現場で迷いやすい時ほど、「評価をお願いします」と渡す形の方が共有しやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
原則として医行為ではない行為に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001489487.pdf
介護職員は、利用者の状況等を観察しながら、当該行為を実施することが求められます。もし、利用者の状況が普段と異なる場合などには、医療職への連絡等あらかじめ定めた手順にそって必要な対応がとれるように、本人や家族等を含めた関係者であらかじめ話し合っておくことが重要です。
- Qむせがなければ、今の食形態で続けてもよいと考えていいですか。
- Aむせがないことだけでは、安全性を十分に見切れません。観察では、声質の変化や呼吸観察も補助項目として見られており、むせだけで判断しない視点が必要です。現場では咳が出ていないと安心しやすいですが、それだけで話を終えない方が共有しやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)
嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
観察評価で、明らかにむせが見られる場合は誤嚥を予測するが、むせなくても誤嚥するという不顕性誤嚥は観察評価の「むせ」だけでは検知できない。そこで、頸部聴診、声質の変化、呼吸観察の3項目を誤嚥の補助項目として設定した。
- Q記録は何を書けば、食形態変更の相談につながりやすいですか。
- A相談につなげやすいのは、実際の食事場面の観察情報です。推奨食事形態の決定では、スクリーニング検査よりも食事場面の観察が重視されていました。現場で迷う時は、むせだけでなく、口腔内残留や食事時間、疲労など、複数の項目で残しておくと共有しやすくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学政策研究事業)
嚥下造影および嚥下内視鏡を用いない食形態判定のためのガイドラインの開発
https://www.hosp.jihs.go.jp/s027/100/R1_Report.pdf
本アンケートの結果では、推奨食事形態の決定に、スクリーニング検査よりも実際の食事場面の観察からの情報が重視されていることが伺われた。
- Q食形態の相談は、現場だけで決めずにどこまで広げるべきですか。
- A食形態や介助方法は、多職種で分析して導くことが必要とされています。状況、原因、改善策を多角的に見る前提なので、介護士だけで結論を出し切る形にはしない方がよいです。現場では急いで答えを出したくなりますが、観察後にチームで協議する流れを持っておくと負担が偏りにくくなります。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査
https://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol25.html
摂食嚥下の障害は、誤嚥による肺炎や窒息事故などのリスクを高めるため、多職種の専門職がチームを結成して要介護高齢者の障害の状況、原因及び改善策などについて多角的に分析し、適切なレベルの食形態や介助方法を導き出すことが必要である。
- Q家族から指摘を受けた時、その場で介護士が詳しく説明した方がよいですか。
- A事故やリスクの説明は、職員が個人的な判断や推測で答えないよう徹底することが示されています。そのため、現場では事実確認と共有を優先し、組織で説明する流れに乗せる方がずれにくいです。迷いやすい場面ほど、その場で抱え込みすぎないことが大切です。
出典元の要点(要約)
厚生労働省
介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/001569590.pdf
事故情報は職員に対しても開示し、職員が個人的な判断や推測のもとに回答することがないよう徹底する。多職種・他部門で収集した情報や原因分析をとりまとめ、現場のリソースやコストも踏まえ再発防止策を検討する。職員個人ではなく、事業所全体で検討を行う。
食形態変更で迷った時は、一人で結論を出すより、観察を材料にして手順どおり共有する方が現実的です。むせだけで決めず、多職種と組織対応へつなげる視点が土台になります。
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食形態変更で抱え込みを減らす最初の一歩
現場では、今の食形態に違和感があっても、変えて事故が起きたらどうしようという不安で止まりやすいです。建前ではチーム対応が大切だと分かっていても、食事介助のその場では一人で背負っている感覚になりやすいと思います。
だから最初の一歩は、食形態を変えることではなく、むせ・湿った声・口腔内残留・摂取量を記録して、変更ではなく観察依頼として共有することです。そこから多職種で評価し、必要なら条件付きで試す流れに乗せる方が、現場でも続きやすくなります。
責任を抱え込まない形に変えることは、手を抜くことではありません。見えている違和感を、一人で決めずにチームへ渡せる形にすることです。最後までご覧いただきありがとうございます。
更新履歴
- 2026年1月24日:新規投稿
- 2026年5月7日:内容を全面的にリライト
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